岡部ゼミ
<2010年、ソニープレゼン>

2010年12月13日に上記テーマで、ソニー品川本社で同社の幹部社員を前にプレゼンを行った。学生には、これまでの学生間のプレゼンはしょせん木刀でやりあうようなもの、多忙な企業の幹部を前に行うプレゼンは真剣で勝負することである。巷に溢れているソニー本に書かれている内容ではだめ、学生ならではの新鮮な視点で徹底的に考え、自分達のオリジナルな答えを出せとハッパをかけた。以下は各グループの学生がまとめたプレゼン内容と主にソニーの財務部門長の方のコメントである。

第1グループ:各ゼミで学んできた学問的な知見に加えて、都内の家電量販店に足を運んだり、学生にアンケートを取ったり足も使って情報を収集した。好調時のソニーが生み出していたワクワク感のある商品を作るためには何が必要かにテーマを絞った結果、社員がワクワクする職場作りが必須だという結論になった。ソニーからは、「学生のためか、利益を確保するという視点が欠如しているが、ポイントとしては私たちも日頃悩んでいること(ソニーのチャレンジ精神を守ることや、企業メッセージを消費者に発信し続けること)に対する一つの答えを出しているので、次回の会議で使わせていただきます」というメッセージをいただいた。(文責、今野拓人)

第2グループ:外部、内部、商品開発、財務の視点からソニーを分析し、利益の鈍化、経営者の交代、組織構造の変化に着目した。ソニーの風土に「モルモット精神」というのがある。これは実験台として新製品を他社に先駆け創造し投入する企業精神を表しており、創業者井深の精神でもあった。しかし、ソニーはこのモルモット精神を失ってしまい「わくわくする製品」を出せていないという現状ある。その背景には、拡大路線を計ったこと、組織構造上のシナジーの薄まり、経営者交代による社風の変化がある。我々は「横の繋がり」と「わくわく」を取り戻すべきと考えた。そこで、各事業部の強みをネットワーク(Qriocity)によって繋ぎシナジーを生む横断的組織の構築、電気自動車の普及に伴うソニーの技術力を活かした自動車部品製造への進出を提案として掲げた。これに対し、ソニーから「横の繋がりとかつてない新製品の欠如については我々も問題であると自覚しており、現在、CEOも今後のソニーの戦略について同じ様な構想を抱いている。今回の提案は大変我々としても力をもらえた」とおっしゃっていた。(文責、江泉卓弥)

第3グループ:本やインターネットの情報だけでなく、ソニーの社員の方にお話を伺ったり、約2300人の学生にアンケートを取ったり実際の現場の情報を手に入れることを重点的に行い、「学生の視点」で提案をすることを心掛けて活動をした。そこで私たちは「SNSを利用した新卒採用」を提案した。アンケートから、SNSは約8割の学生に利用されていること、学生はソニーと距離感があり、身近に感じられないということが分かったので、SNSを利用することによりソニーと学生の距離を短くすることができ、志望する学生が増えソニー側も自社に見合った人材がとれる可能性が高くなるのではないかという提案をした。ソニーからのフィードバックは「アンケートから学生の就職活動に対する不満(説明会がすぐ満席になる、開催地が遠い)がたくさんあることを知り、その不満を解消し、学生と会社がお互いに距離を縮めないといけない」とおっしゃられた。またSNSがほとんどの学生に利用されているという現実に驚かれていて「SNSを利用した新卒採用」という新たな方法に興味を持ってくださり、人事に話をしてみるという嬉しい言葉を頂くことができた。(文責、田中駿作)

大学では座って講義を聞くだけでなくアクティブ・ラーニング必要と言われる。しかし、この種のプロジェクトは気をつけないと自己満足の単なる遊びに終わる危険がある。今回は企業人に厳しい目で見られるという意識が学生の努力レベルを引き上げた。就活が始まる中、学生は大きなプレシャーを与え続けられて大変だったと思う。終わった後、品川駅ビルのイタリアンでの反省会兼食事会で精魂尽き果てたような表情が大変さを物語っている。でも、このプロセスの中で彼等は大きく成長し自信も少しは得たと思う。この経験は、単に就活の話題つくりのためではなく、今後の人生の糧としてほしい。

最後に、ソニーとの仲介の労を取って頂いた野村證券の石川さん、多忙な中時間を割いていただき学生のプレゼンを聞いてコメントを頂いたソニーの栗原さんと飯野さんに深く感謝いたします。


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